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アップル、ゴールドマンとクレジットカードで提携へ

【ニューヨーク=大塚節雄】米アップルが米金融大手ゴールドマン・サックスと提携し、クレジットカードの事業を検討していることが分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が10日報じた。IT(情報技術)大手が金融機関と組み、金融関連のサービスを強化する動きが広がりつつある。

アップルはスマートフォン「iPhone」の販売停滞への警戒もくすぶるなか、決済も含めたサービス事業の拡大を急いでいる。ゴールドマンはトレーディング業務の好不調の波が激しく、インターネット銀行「マーカス」を立ち上げて小口金融にも力を入れている。重点分野のてこ入れに向け、双方の思惑が合致したもようだ。

提携のカードは来年の早い時期に発行を始める見通し。保有者向けの特典など詳細は不明だが、アップルのモバイル決済サービス「アップルペイ」のブランドを冠し、同サービスの利用増につなげる狙いとみられる。

ウォール紙は2月、アップルとゴールドマンが個人向け融資で提携を協議していると報じた。両者は今後も提携を深めていく可能性がある。

アマゾン・ドット・コムやグーグルなど米IT大手は、相次いで決済や小口融資など金融関連の事業を強化している。既存の金融機関にとって巨大な顧客基盤を抱えるIT大手は潜在的に大きな脅威だが、当面は提携相手として「共生」を試みる動きが出ている。アマゾンとJPモルガン・チェースは「預金口座に似たサービス」を検討している。今後、こうした流れは加速しそうだ。